週刊大極宮

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- 第456号 -

2010/8/02

HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ

化け大祭

 今年はいつにも増して豪華なイベントに…。

燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

推理作家協会

 夏の懇親会があったので行ってきました。
 協会員総会には別件の打ち合せがあり参加できず、懇親会のパーティーから参加です。
 会場に入っていくと…K方先生、N木先生、O坂先生、S水先生といった大御所陣が並んでいて「おやっ!?」と思いましたが、じつはN木先生が古希を迎えられたということで、総会で記念品の贈呈があったとのこと。
 会場ではK方先生とあいもかわらぬバカ話をし、そのあとは銀座に流れて久しぶりにS水先生…ってゆうか志水辰夫さんと、午前1時ぐらいまで昔話をしつつ編集者も交えワイワイ飲みました。
 志水さんはブログにも書いていましたが、自分たちは良い時代に作家としてデビューしたと言っていました。本というのもが、いま以上にこの国の人々の生活のなかで高い地位にあった時代に作家生活を始めることができた…と。
 その志水さんは今、時代物しか書いていないのだけれども、オイラは志水さんの冒険小説の大ファンだったので、現代物はもう書く気はないのと聞いてみたら、「今、書くことはないだろう。時代物を書いていると、なんとなく気持ちがやすらぐんだよね」と言われました。
 それには納得がいくような気分でありながら、時代物が書けないオイラとしては「・・・」と思ったりして。
 まあ、とにかく楽しい時間を過ごしたのです。

安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

ゲーム女の生きる道

 今週は写真でご報告。

はやみね先生と

 講談社青い鳥文庫夏まつりに、はやみねかおる先生と参加しました。

arrow 厨子王の逆襲 〜 京極夏彦のコーナー

◎今週の巷説百物語◎

 『西巷説百物語』(角川書店)発売記念イヴェントが新宿某所で行われました。
 まず「クロワッサン・プレミアム」の取材がありまして。

クロワッサン取材

 それからサイン。ご来場いただくみなさん300人分の新刊に何か書くミッション。何か書きましたが、300冊同じことを書くのはしんどいので、いろいろ変わってしまいまして。中にはハズレもあるかもしれません。すいません。
 というか、別に300もあるならひとこと添えなくてもいいじゃないかという意見を、後で聞きました。おかげでギリギリまでかかってしまいました。サインだけでは何なので、自宅からポストカードを持って行きまして挟んでもらいました。ファンレターの返信用に作ったオリジナルポストカード(郵便番号のケタが変わったので使えなくなってしまっておいたもの)なんかも混ぜました。使えなくってすいません。どどっと書き終わってお疲れさまーで打ち上げ、的な雰囲気になったわけですが、イヤこれは準備なのであって。本番はこれからですね。大急ぎで軽食かなんかをとりまして、会場へ。会場の都合もあり、リハも何もできません。メニューは、『巷説百物語』朗読(「帷子辻」ショートヴァージョン)、アニメ『巷説百物語』(第一話「小豆洗い」)、杉江松恋さんとの巷説トークショー、ドラマ『怪』(第四話「福神ながし」)。全部に 参加すると終電がなくなっちゃうという不親切なイヴェントにもかかわらず、満席でありまして、ありがたいことです。
 開始前にはコミック版『巷説百物語』(リイド社)の作者である日高建男さんが陣中見舞いに来てくださいました。

日高建夫さんと

 僕はジジイを書くのが好きなんですが、日高さんもジジイを描くのがお好きなのだそうで。そういえば志水アキさんもそんなことをおっしゃっていたような。いいですね、おじいさん。
 そんなわけで前説も司会もなく、また幕も舞台袖もないという構造のス テージだったので、ほいほい入場してこんばんはーで突如朗読という、多少滑稽な始まり方になってしまいまして、すいません。

朗読
 
 アニメのあとは杉江さんとトーク。裏話なんかそんなにないのに、すこし押してしまいましたすいません。より終演が遅くなってしまったかしらすいません。

杉江松恋さんと
 
 反省の多いイヴェントだったので、たくさん反省会をしました。すいません。
 あ、終了後に井戸端組のへんしゅNが「おこめ券」を持って来たので、感謝の署名をさせていただきました。ご来場いただいたみなさん、ありがとうございました。なんか、このイヴェントの一部が化け大で映像配信されるようです。

◎今週の推理作家協会◎

 総会と夏期懇親会が。事業担当の僕は相変わらず司会なわけです。お歴々がたくさんいらっしゃるのに気が引けますね。パーティのほうはなんだか気の抜けた司会をしてしまいました(当社比)。石田衣良さんと道尾秀介くんのビンゴコーナーは盛り上がったのでまあいいかという。
 終了後、怪編集長といっしょに阿佐ヶ谷ロフトの怪談イベントへ。幽の編集Rに聞いたらば安曇潤平さんと伊藤三巳華さんの出番には間に合うかもという話だったもので。間に合いました。拝見(拝聴かな)いたしました。おつかれさまでした。
 その後、編集R発案のけったいな企画の打ち合せなど。けったいだなあ。

◎今週のガべージコレクション◎

 ええと。まだやってます不健全なラジオ。時間ぴったりに行くと、いつも必ずいない不健全な平山夢明さんがもう到着していて、腰を抜かしました。天変地異でも起こるんじゃないかと懸念したわけですが。
 起きました天変地異。
 なななんと、ゲストがクレージーケンバンドの横山剣さん。うひゃー。

横山剣さんと

 剣さんのナマ唄もあり(中学生のころのイカレタ友達の主題歌)。トークもステキ。と、いうよりどうしていつもの収録と態度が違うんだ平山夢明。なんだかマトモに思えるのは気のせいなのか。気のせいだと本人が言ってましたが。でも、剣さんがお帰りになった後もやや変調気味だったのは気のせいなのか。まあ気のせいらしいですが。
 終了後も、いつになくマジメなお話をいたしまして、やがて平山さんは町山智浩さんの帰国イベントに。僕も行きたかったのですが、仕事もあるのでタイムアウト。

◎今週のルー=ガルー◎

 完成しました。劇場版アニメーション『ルー=ガルー』(配給東映)。完成記念特別試写会がありました。
 SCANDALの4人による除幕式だの、藤咲監督と僕を加えた舞台挨拶なんかがあるわけですね。

スキャンダルと
 
 パンフレット用の取材なんかも。
 いや、実は完成本編を観ていないのでした。映画は、監督とスタッフ・キャストのみなさんによる作品ですから、原作者は関わらないほうがいいと思うわけです。口出しはしないにしても、途中で見られるのってイヤかもなあ、という気持ちもあったわけで。なので、これが初見になります。
 でもって差し入れのドラ焼きなんかを食べて待機してまして、いよいよ登壇。なんだか孫に囲まれた還暦のじいちゃん的な構図。突如あらわれたモビルスーツ的キャン太くんのほうに親近感を覚える監督と僕。こわいオジさんですいません。
 と、いうわけでProduction I.G×SCANDALの新生『ルー=ガルー 忌避すべき狼』拝見致しました。素で面白かったです。
 原作をすでにお読みの方も楽しめる工夫が施されております。挿入歌もエンディングも実に良い感じ(演奏シーンはSCANDALの4人にモーションキャプチャーを装着しての作成です)。その他、SCANDALのみなさんは声優としても参加されています。
 ナビゲーションDVDも発売されますし、新宿バルト9にはルー=ガルー×SCANDALのサイン&コメント入りパネルが飾られてます。
 公開間近。お楽しみに。
 樋口彰彦さんによるコミック版も発売です。こちらも、小説・映画と一味違った魅力満載。ぜひご贔屓に。


◎弔意◎

 作家の村崎百郎さんが亡くなられました。
 報道もされましたのでご存じかとも思いますが、通常あってはならない亡くなられかたでした。
 僕は、村崎さんが村崎さんになる遥か昔、もう30年以上前の彼を 知っています。もっとも、あの「鬼畜ライター」がその彼なのだと知ったのは、ずっと後のことでした(村崎さんのほうはすぐに僕だとわかったようですが)。その後、20年近く間を空けて再会し、何度か対談をさせていただきました。
 村崎さんは、本名や経歴、私生活などを一切伏せて活動されておられました(亡くなられた後、一部では報道されてしまっているようですが)。それは彼なりの確固たる信念に基づく方針だったようなので、僕との関わりを含めて語ることはいたしません。
 ただ、ひとつだけ申し上げておきたいことがあります。
 僕の周囲には、村崎百郎は「鬼畜キャラを演じていた」「鬼畜のふりをしていた」と受け取っている人が多く存在します(また世間でもそうした言説がささやかれていると聞いています)。そのほうがわかりやすいことは確かです。加えて、村崎さんの書いたものや発言などからも、「実は良識のある、いい人ではないのか」と推測することは容易でしょう。そう受け取られても仕方のないとても「まとも」な意見を、故人は結構多く残しています。すなわち、露悪的な発言やエキセントリックなたたずまいは、すべて「作られたキャラ」なのだという判断です。
 実際、村崎百郎という人は、良識のあるいい人でした。しかし、決して鬼畜を「演じて」いたわけではありません(僕はそう思っています)。
 彼は、自らの中に厳然としてある「鬼畜の部分」から目を背けることができなかった人なのです。そして、時にその「鬼畜の部分」に突き動かされ、反社会的・非人道的・不道徳的な行為を仕出かしてしまうことがある自分という人間を、村崎百郎は「異常」であると、自ら判断したのです。考えるだけでなく行ってしまうことがある以上、自分はまごうかたなき「鬼畜」だし、世間から「異常」と判断されるべきなのだと村崎さんは言っていました。そして、自分と同じであるにもかかわらず、その「鬼畜」の部分に目を瞑り、あれやこれやと自己を正当化して正常を 装う人や、またオカルトや神秘などのベールを覆い被せることでそれを糊塗してしまったりする行為が許せないんだ、とも語ってくださいました。
 彼は(僕にとっては)いい人でしたが、「世間にいい人だと思われてしまったら自分が大嫌いな人種と同列になってしまうから、やはり自分は 鬼畜として蔑まれるべきだし、事実そうした存在なのである」と考えていたのでしょう。また、そう考えるだけの理由も持っていたようです。
 村崎さんは建設的で思慮深い人ではあったのだけれども、やっぱりどうしようもなく「鬼畜」だったのです。
 村崎さんに関しては、どのように語っても遺志に反することになってしまう気がします。ここ数年は疎遠で、たぶん七年前にパーティで挨拶したのが最後だったと思うのですが、春にダ・ヴィンチの僕の特集にコメントを寄せてくださって(キャラを演じていたのであれば当然無視する企画です)、ちょっと嬉しい気持ちになったのを覚えています。
 ただ、事件自体は大変に重く受け止めるべきものです。これは決して「彼が鬼畜だったから起きたこと」ではありません。インターネットなどに軽々しく原因を求めてしまうこともナンセンスです。こうしたことは厳然としてあり、また誰の身にも起こり得ることで、かつ簡単には防ぎようもないことなのだから、そこから目を背けてはいけないんだ、そんなラクなもんじゃないんだと、故人はずっと言っていたのですし。
 深く哀悼の意を表します。

編集者Sのウラ情報

Yonda?

 安寿と厨子王の新刊「あんじゅう」と「西巷説百物語」、もうお読みいただけました? おいらはとりあえず「西」を読了。週末は「あんじゅう」にかかります。厨子王の百物語はこれでおしまいのようで、淋しい限りです。
 さて、今週は推理作家協会の夏の懇親会がありました。推協主催のパーティは新年会、推理作家協会賞授賞式、夏の懇親会、江戸川乱歩賞授賞式と年4回あります。このうち乱歩賞のみ講談社、フジテレビの後援があります。ですので会費はなし、受賞作のおみやげ付きです。とはいうものの受賞作がでなければ、授賞式もないわけで。で、今年も受賞作、出ています。横関大氏の「再会のタイムカプセル」。まもなく出版されるようですが、読むのが楽しみです。

まるひの秘書ヒショバナシ報

今週の厨子王原稿メール件名

 風雲! 大極宮城
 すもうでポンのコニシキ君が大好きでした。

ノリノリ編集後記

西巷説イベント

 猛暑だった土曜日、新宿の串揚げ屋「立吉」で夕食をとってからイベント会場にうかがいました。
 映像の上映があるとはいえ、新刊の出版記念イベントが映画館というのはめずらしいのではないでしょうか。映画館は独特の雰囲気がありますから、なんだか新鮮です。
 イベントは京極さんの朗読から始まりました。続いてアニメ版「巷説百物語」の第1話『小豆洗い』の上映。このアニメシリーズ…色彩が美しくて個人的にお気に入りなんです。音楽もカッコいいですからね。DVDのBOXも持ってます。
 でっ、心地よく(居眠りしていたわけではありませんよ)上映を観ていましたら…ある声を聴いて「おやっ!?」と思いました。
 アニメ版オリジナルキャラクター“長耳”の声です。この声「プリズン・ブレイク」の“ティーバッグ”に似てる!!
 そう思えてからは気になって気になって…。家に帰ってからすぐに調べました。そしたらやっぱり“ティーバッグ”と同じ声優さんの若本規夫さんだったのです。
 なんだか当ったことが嬉しくて、深夜にもかかわらずモノマネをしてしまいました。“ティーバッグ”の方です…。
 (母校の大田高校、決勝で敗れ27年ぶりの甲子園出場ならず。島根代表はセンバツに続き開星高校。話題になった監督が辞めても強かった…ノリ)

アンケートから

ご来場ありがとうございました!

◆「西巷説百物語」発売記念イベント、行ってまいりました。
入場の際にいただいたサイン本、席に着いて中を確認してみたところ「鍛冶が嬶」と書かれておりました。
「鍛冶が嬶」は高知県の妖怪。高知は僕の出身地です。
サイン本は自分で好きなものを選ぶのではなく、スタッフの方からランダムに手渡しされるわけですが、この偶然に一人座席でにやけておりました(よもや全ての本へのサインが「鍛冶が嬶」ではないでしょうし)。
妖怪との縁を改めて確認した次第です。
楽しい時間は早く過ぎるの言葉通り、あっと言う間のイベントでした。またこのような機会が設けられる日が来るのを楽しみにしております。

・ご来場ありがとうございした。とてもステキな偶然ですね!
ここだけの話「あんじゅう」なんていうサイン本もあったのですよ。

- 第456号 - 2010/8/02