週刊大極宮バックナンバー

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 最新号へ 2007.11.9

▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王
▼編集者S ▼まるひ ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ

◆先週からTBSラジオで放送開始された「怪」ラヂヲが、かなり好評だったらしい。番組の最後に流れる替え歌は要チェックですよ!

 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆小さなトラブル
 現在オイラは新聞、週刊誌、月刊誌の連載をかかえているのだけれど、基本的に新聞と週刊誌の原稿は活字になったものを読んでから書いたのでは間に合わないので、すでにFAXした前回までの原稿を読んで続きを書くというのが仕事のパターンになっている。
 で、今週もいつもどおりに「サンデー毎日」に連載中の『ゾンビシティ』の続きを書こうとしたら…前回送った第10回の原稿がどこにもない。
 オイラは手書きなので、FAXした後の原稿はホチキスで留めてデスクの決まった引き出しに入れておくことになっている。ところがその引き出しの中に入っておらず、もしかして別の連載原稿の束に紛れこんでいるのかと捜したがそこでもなく。
 机の上に山積みになった資料だの本だの辞書だのをひっくり返して…小一時間捜しても見つからなかった。前回の原稿を読まないと、今週どこから続きのシーンが始まるのかがわからないので、ちょいと焦りました。 まあ、実際に原稿は見つからなかったけど、この連載の挿し絵担当のクマキチがコピーを持っていたので、それを再送してもらって事なきをえたのであります。しかしなぜ原稿が消えてしまったのか…。どうしても解せない。
 オイラの仕事場に置いてあるFAXは業務用の大容量なので100枚、200枚でも一気に送れる機能があるのだけど…もしかするとふだん送られてくるFAXやらチェック済みのゲラなど、不要の物と一緒に捨ててしまったのかもしれない。それぐらいしか謎の答えは見つからない。
 結局、第10回の生原稿は行方不明になってしまいました。

◆池袋の立教大学で…
 いよいよ今週末、推理作家協会60周年記念事業が開かれます。今のところ当日の天気予報はもうひとつ。雨になるとお客様の出足が心配です。まあそれよりも、とにかく大きなイベントなので、何事もなく無事に終わってくれることだけを今は願っているのですが…。
 それでは皆さま、会場でお会いしましょう。

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆ゲーム女 with ゲーム化会議
 いよいよ今週末、日本推理作家協会設立60周年記念イベントが、立教大学キャンパス内にて開催されます。チケット完売、まことにありがとうございました。
 わたくし宮部は、「ミステリー本ゲーム化会議」に参加いたします。「ゲーム化会議」(またの名を「日本文学ふいんき語り」)のお三方、ゲームクリエーターの麻野一哉さん・飯田和敏さん・米光一成さんには、前々からずうっとお会いしたいと思っておりましたので、今回のイベントで念願かないました!(^^)!
 当日、お題として取り上げるミステリー本は、協会創立の祖・江戸川乱歩の『黒蜥蜴』と、大沢在昌現理事長の『新宿鮫』という、まこと記念イベントにはぴったりのチョイス♪
 これまで、現代ベストセラーから古典文学、さらにはノンフィクションまで、数多の強力な書籍を分析解体再構成、ねじ伏せ説き伏せ丸め込み(^^)、ずばずばとゲーム化してきたお三方。そこに野次馬ゲーム女の宮部が加わって、はてさて此度はどんなゲームができるのか?? お楽しみ、お楽しみ♪
 日曜日、会場にてお待ち申し上げております。「ゲーム化会議」は8号館2階、8202講堂、午前11時15分より開始でございますよ〜!

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■厨子王の逆襲 〜京極夏彦のコーナー

◆怪ラヂヲ
 録ったと思ったら放送されていました。
 最後の行楽情報しか聞けませんでしたが、はたしてどうだったのでしょう。
 唐沢なをきさんの「怪獣の声の世界」が僕的にはツボでして、録っている間中笑わせていただいていたわけですが、あの微妙なカンジがどこまで伝わっているものか。
 なをきさんの怪獣愛に、改めて敬服した次第。
 どんなふうに聞こえたのかしら。

◆ラヂヲCD
 ええと、怪ではなく『百器徒然袋 雨・風』ですね。発売になりました。
 改めて聞きましたが、なんか、やっぱり「うははははははは」なんですね。榎木津という男は。
 佐々木さん、疲れたろうなあ……と思って脚本集の鼎談を読んだらば「全然緊張してないです」「ここで解放させていただいてます」って、うーむ。
 すごいぞ、佐々木蔵之介さん。

◆協会ビデヲ
 仕事の合間にコツコツ作っていたわけですが、いよいよ開催日が迫って来たので慌てたわけです。
 日本推理作家協会60周年イベント用VTR。
 なにしろゲリラ的に撮りためた寄せ集め素材ですから、まあいろいろと面倒なわけです。
 しかも、分業ナシですから。スタッフロール短いです。ほぼひとりですし。
 でも出演者は豪華です。
 演目は二つ。

 我孫子武丸さんの企画・原案になる
『消えた理事長』

理事長が消えちゃうんですね。ええ。何故消えたかは、言えません。

 それから密着ドキュメント
『第53回江戸川乱歩賞選考会』

 貴重映像です。選考したことはありますが、他の人が選考してるところを見る機会はありませんでしたからねえ。
 もちろん、一般の方には(たぶん)初公開でしょう、映像としては。
 両方とも11日の日曜日、イベント会場で限定上映です。もう二度と観られません。
 あ、二本立てでくりかえし上映されるようですから、一日の間なら何回か観られるのかしら。

◆幽選考会
 というわけで、選考会のビデオを徹夜で仕上げて、現実の選考会に臨んだわけです。
 二回目となる「幽」の怪談文学賞ですね。
 選考委員は、岩井志麻子さん、高橋葉介さん、怪談之怪からは木原浩勝さん、そして東雅夫編集長と、僕。
 五人五様、それぞれ読み所が異なっているので、大変に勉強になります。
 これ、普通なら揉めそうなもんなんですが、どういうわけか揉めないんですね。
 いずれ個人の好き嫌いで決めるような簡単なものではありませんから、当然と云えば当然なんですが。
 それでも常に問題になるのは「とても良く書けているけれども、怪談なのかしら」というところです。
 選考委員一同、「怪談とはなんぞや」ということを懸命に模索しつつ、「これを怪談として世に送り出そう」と決める、そういう賞なんだと、つくづく思い知りました。
 要するに選考委員のほうが審査されているようなものですね。

 まあ、怪談の定義などというものは明文化できるものではありませんから、どんなスタイルのものでも「怪談」としてプレゼンすることは可能です。
 ただ、明らかに「怪談として世に出さない方が良いと思われる作品」というのは、あります。
 それは、「こんなの怪談じゃない」などというマイナス感べったりの決めつけではなくって、怪談というラベリングをしないほうが良い(あるいはするべきでない)と思われる作品だ、という、ある意味ポジティブな評価なんですね。
 しかし、どんなに面白くとも、完成度が高かろうとも、そうした作品には賞をあげにくいわけです。怪談の賞ですから。
 優れた怪談は優れた小説たりうるけれども、小説として優れているからといって怪談になるわけではないわけでして。
 で、前述のとおり選考委員は読むツボ、評価のポイントがさまざまであるにもかかわらず――その点に関してだけは、なぜか同じような結論に至るわけです。だから決定的には揉めないんでしょうね。
 ある意味不思議です。そこいらへんが怪談のヒミツなのかもしれません。

 一方で、「これって怪談だろ」という勝負感にあふれた書き手もいたりするわけですが、その場合も小説としてちゃんとしてなければ、やっぱり賞は出せないんですね。
 特に長編の場合はパッションだけでは引っ張れませんから、やはり全体の構成から「てにをは」に至るまで、綿密かつ慎重に推敲を重ねる必要があるのだなあと、今さらながらに思い知らされました。

 それからすでに活躍されている(いわゆるプロの方)の応募もあるわけですが、こちらはどうしても点が辛くなってしまいます。
 もちろん、応募作単体での評価というのは定められるわけですが、他に刊行されている作品がおありになる場合、どうしたって比較せざるを得なくなるわけで、ハードルは自然と高くなってしまうわけですね。

 そうした状況の中で、長編部門特別賞に決定したのが、長島槇子さん。
 長島さんは『旅芝居怪談双六』という作品でムー伝奇ノベル大賞の優秀賞をすでに受賞されている方です。受賞作は『遊郭の怪談(さとのはなし)』。長編を一気に読ませる充分な筆力をお持ちでいながら、なお「怪談」であろうという惜しみない努力が全編にまんべんなく練り込まれていて、感心させられました。

 短編部門大賞は雀野日名子さんの『あちん』。レベル的には拮抗していた短編部門ですが、やはり決め手は「怪談であろうとする努力」だったように思われます。
 また短編部門からは勝山海百合さんの『竜岩石』も優秀賞に選ばれました。「伝奇」に向きがちな昨今の傾向にさからい、あえて「志怪」に寄せたその手腕に一票が投じられた結果かと。

 微妙にわかるようなわからないような書き方をしておりますが、詳細な選考過程は『幽』に掲載されますので、そちらをどうぞ。
 受賞されたみなさん、おめでとうございます。

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■編集者Sのウラ情報

 いよいよ明後日は推協60周年イベントです。天気がイマイチなようですが、来場される皆様には楽しんでいただければ幸いです。といったところでオフィスは準備に絡んではいないので、どんな内容になるのかプログラムで見た程度の知識しかないんですよ。
 オフィスと推協の関係というのは直接的にはないんですよ。推協の会員というのはあくまで、作家個人なんですね。ですから三人が推協絡みでなにかするというときはあくまで個人の立場なんですよ。その個人をバックアップしているのがオフィス。
 ですからいま大夫は推協の理事長ですが、理事長としての活動は推協の事務局が仕切るわけで、いつのまにか京都へ行ってたりするわけです。
 ま、絡んでいないとはいえ、あることでスタッフ全員が協力しております。それがなにかはみなさんでお確かめくださいませ(S)。

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■まるひの秘書ヒショバナシ

◆今週の厨子王原稿メール件名
 ねらわれた大極宮
 なにやらぶっそうですな。ところで安寿は、初対面のときから厨子王を「ねらって」いたのでしょうか…(謎)

 ハイここでエンパラエンパラエンパラ〜♪ 祝・新装版発売!
 以下、山椒大夫とトークバトルを繰り広げた作家の皆さまです。(目次順、敬称略)
 船戸与一、京極夏彦、藤田宜永、瀬名秀明、宮部みゆき、北村薫、綾辻行人、真保裕一、小池真理子、白川道、志水辰夫、北方謙三、内山安雄、浅田次郎、福井晴敏。
 いやはや豪華豪華! しかも作家の本音炸裂で読みごたえタップリです。
 中でも注目は、なんといっても"大沢オフィス以前"の厨子王。デビューしてまだ一年もたってない"新人"だ!
 この対談には「京極さんに会いたい!」という安寿が途中から乱入しています。私もくっついていきました。うひ。まさか三人が同じ釜の飯を食うことになるとは…このとき誰が考えたでしょう。今とはまったく違う他人行儀な話しぶりが妙にオカシイです。
 こんな時代もアッタノネーと、思うことしきり。新録の福井さん以外は、どの方も若い若い。打ち上げ風景にちゃっかり写っている私も、まるで別人ざます。わはは。
 今となっては貴重な対談集です。ぜひぜひご一読を〜♪

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■ノリノリ編集後記

 いよいよ朗読会まで1週間となりました。なんとなく運営にも慣れてきたのか…今のところじつにスムーズにことが運んでいます。そこに逆に落し穴があるような…。事故やアクシデントがないことを祈るばかりです。
 今回の会場「IMAホール」は以前利用したときに、駅から会場までがわかりにくい(実際にはものすごく近いのに…)と、お客様からご意見をいただきました。
 たしかにスーパーの中を通り過ぎるときはこの先(上)に500人も入れるホールがあるのか? と不安になります。そこでスタッフブログの方に、道順を写真で説明しておきました。“朗読会へお越しになる方へ”をご参考にしてください。公演中は基本的に途中入場できませんので、遅刻のないようにお願いいたします。
 そして会場で販売するグッズですが、新商品がなんとか間に合いそうです。京極さんの講談社文庫版「妖怪シリーズ」の装丁に使われている張子をデザインしたクリアファイルとTシャツ。詳細はまたまたスタッフブログでお知らせいたしますのでご確認ください。
(『怪』ラヂヲ、今週は聴き逃がさないぞ…ノリ)

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■アンケートから (兼 間違いさがしコーナー)

◆「ラジオドラマ百器徒然袋」CDブックの値段ですが、税抜きで9800円税込だと10290円ではないでしょうか?
ビーケーワンの予約では、そうなってるんですよね。

●オフィスに届いた本体(オーツカ・ハル君がスタッフブログに写真載せてます)を確認しました。税抜き9333円、税込9800円です。と、ここでビーケーワンを見てみたら、価格が訂正されてましたー。ご安心くださいませね。(まるひ)

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