第4回 (2006/12/2)
ナゾのコメント爺、唐突に登場!
「もういい。お前らの勝ちだ。俺は手前勝手なクソ野郎だよ。そしてもっとクソ野郎になるために、お前らを巻きこんだ。もう後戻りはきかない。恨まれてもかまやしない。一緒に殺されてくれ。それでいいのだろう」
『砂の狩人』 大沢在昌
幻冬舎文庫(下巻) … P70
 主人公の西野は、過去に起こした自分自身の過ちから、常に死に場所 を探しているようだった。そこに元同僚の佐江ややくざの原が西野の思いを理解した。西野も二人の思いに答えたこのコメントには、とても強い友情がこの時初めて芽生えた気がした。
 このセリフには本を読んで久しぶりに鳥肌がたちました!
samashiyo 21歳 男性 東京都

コメント爺 爺のコメント 爺は『砂の狩人』を読んで、「これは平成の"仁義なき戦い"じゃあ!」と、年甲斐も無く叫んでしもうた。
 普通の生活しておったら、「一緒に殺されてくれ」などと言う相手にも機会にも、お目にかかることもないからのー。まさに鳥肌モノのシーンじゃ。

「だってそうでしょう。お金なんか煮ても焼いても食べられないし、眺めたって触ったって面白くも何ともない。洟をかむには固すぎる。折り紙折るには長すぎる。お金なんて下品なものは何かと取りかえなければ意味がないのです。つまりお金は貯めるものではなく遣うものなのです。増えるものではなく減るものだ。遣うために稼ぐなら正しいが、遣わなければ要りません」
『陰摩羅鬼の瑕』 京極夏彦
講談社ノベルス … P219
 またまた榎さんの台詞です。このお金論議は個人的に共感するところがあります。
 お金は遣うもの…
 なるほどなと思いました(笑)
七樹 24歳 女性 埼玉県

コメント爺 爺のコメント ワシも共感するぞい。金なんてものは天下のまわりもの、使い倒してやれば、巡りめぐって戻ってくるもの。そう信じているんだが、う〜む、おかしい。ワシのところには、ちっとも戻ってこないのはどういうこった! もっと使えってか?(バーサンに殺されるワイ…)

「我々人間は、歴史の流れにとってはただの部品だってことさ。取り替え可能なパーツでしかない。パーツ個々の生き死には、歴史にとっては関係ない。個々のパーツがどうなろうと、意味はない。歴史は自分の目指すところへ流れる。ただそれだけのことさ」
『蒲生邸事件』 宮部みゆき
文春文庫 … P211-212
 もしこの話が本当なら、私なんかがいなくても、意味がないのかなぁ…このセリフを読んだとき、そう思ってしまいました。自分がいることで、何か変わってくることを探してみたり、自分がいたおかげで、助かった人とか、いないかな〜なんて考えてみたりしたけど、見つかりませんでした。
 そこでずっと考えて、ふと、気がつきました。これから、それを探しながら、生きていけばいいかな、と。自分の価値とか、意味とか、まだ14年しか生きてない自分にわかるわけがないし、自分の2倍も3倍も生きているけどまだ見つかっていない人だっていると思うし、今頃焦って探す必要はないか。
 ゆっくり、見つけ出していきたいと思います。
M.H 14歳 女性 アメリカ

コメント爺 爺のコメント この平田のセリフからそこまでの人生観を導き出すとは、お若いのにアッパレ! M.Hさんの何倍も年を重ねておるが、ワシもこんな爺になっても、いや、爺になったからこそ、自分の存在価値を探しているしのー。(だから呼ばれもしないのに、こんなところに顔を出してみたりしたんじゃよ。ガッハッハ)

「抱かなくていい。だからそばにいて」
 星川は頷いた。
「抱いてもいいぜ」
 男に戻っていった。
「嫌だ。あんたとはずっと仲よしでいたいから。」
 私は答えた。
『魔女の笑窪』 大沢在昌
単行本/文藝春秋 … P305
 やっぱり、男と女は寝てしまうとだめなのかしら…
 私こと、ヒロインの水原さんはすんごい体験の持ち主で、そんじょそこらの怖いお兄さんを蹴散らしてしまう人なんですが、ホントは優しい女性なのですよ。
 この人を演じるとしたら米倉涼子さん。なんていかがでしょうか? 顔はバッチリだとおもうのです。
 大沢ヒロインは、タフな女性が多いので読んでいてスカッとしますが、現実にすぐ引き戻されてああ…
 因みに星川はオカマさんです。ハイ。
reira 45歳 女性 愛知県

コメント爺 爺のコメント ワシにとっては、もう男も女もねーなぁ。どっちもただ人間だワイ。寝るも寝ねぇもねーってこった。こうなると、楽だぞー。reiraさんも早くおいでなされー。(嫌だってかぁ?)

「おまんま戴くために働いてるンだか、働くためにおまんま喰うのかサ、時偶判らなくなるじゃないか。」
『続巷説百物語』 京極夏彦
角川文庫 … P316
 会社の人員削減で、サービス残業・休日出勤の続いた時期によく頭に浮かんだおぎんさんのセリフです。仕事のためにごはんを毎日食べている気になってきたので、退職することにしました。
 転職がんばります。
ん 34歳 女性 北海道

コメント爺 爺のコメント 恐ろしやおぎん。んさんの人生を変えてしまったのじゃろうか…。その選択が幸せを生むよう、爺も陰ながら応援させてもらうぞ。
 新しい仕事も名ゼリフも、良いものを見つけたらまた知らせておくれ。

「二人きりになったら、あたしのこと、笑わせて」
 微笑んだままでいようと思ったけれど、続く言葉はあまりに切実で、くちびるが震えた。「だけどあなたは笑わないで。あたしのこと、笑わないで」
『クロスファイア』 宮部みゆき
光文社文庫(下巻) … P270
 孤独すぎた淳子が、初めて心をひらいた瞬間だったんだと思っています。不安と喜びと信頼と…そういったものが混ざった切実なセリフに感じて、胸に刺さりました。
 そして女性ならきっと共感できる「心境」じゃないかなと感じます。初めて大切な人に出会い心を開け放つ時、大きな喜びとともに一握りの恐怖があって、もしも本当の自分を見せて傷つけられたら…って思いますもの。
 だからこれを読んだ時、いつだかの経験の遠ーい記憶が一気に蘇ってきてしまいました。
 この物語は、切なすぎます。
かおこ 28歳 女性 愛知県

コメント爺 爺のコメント まったくじゃ。このシーンはえらく切ねぇーなぁ。ハート型に並んだロウソクが……な。爺のワシでもホロリときて、たまらんワイ。かおこさんのコメントは、女性心理を知るのにおおいに参考になるんじゃが、ちーっとワシには遅かったなぁ。数十年前に解っておれば! 今頃はバーサンじゃなくあの娘と……ゴホゴホ。

「かつては、お前は俺の親友の息子だった。だが今は、俺の息子だ。文句あるか?」
「ないね」
『アルバイト探偵 調毒師を捜せ』 大沢在昌
講談社文庫 … P232
 多くは語りません。涼介さん、泣けるほどかっこいいです。
 紫の煙が胸に染み入るようなひと言です。
あんず 39歳 女性 神奈川県

コメント爺 爺のコメント ふむふむ、涼介の奴は女性に人気があるワイ。まあ、若い頃のワシとは比べものにならんがのー!(スマン、見栄じゃ…)

 父親と息子の理想的な関係が集約されたセリフです。血縁のあるなしにかかわらず、絶対的な信頼が根底になければ言えないことでしょう。
 息子に対する深い愛情と信頼、どんな結果になっても受け入れる覚悟、そして自分の思いは決して変わらないという自信。涼介親父がこのセリフを言ったときの決意の眼差しが目に浮かびます。
Yokohama_Middle 40歳 男性 神奈川県

コメント爺 爺のコメント Yokohama_Middleさんに、息子さんがおいでなさるのかそうでないかはワカランが、きっと良い父親になれるお人じゃろう。このセリフを選んで送ってくれたのが、その何よりの証拠ってもんじゃ。

「それでは伺いましょう。意味があることにどんな意味があるのです? 得があることや、救いがあることや、根拠のあることは、損をすることや救われないことや無根拠なことより勝っていると云うのですか? そんなことはないでしょう。だからあなたに兎や角云われる筋合いはない」
『塗仏の宴 宴の始末』 京極夏彦
講談社ノベルス … P630
 京極堂にはいつも自分の中の常識をぐらぐらと揺さぶられている私ですがなかでもこれは最大震度のものでした。
 とんでもない屁理屈のようでありながら、おそろしく素朴な理屈。 こんなことを云われたらぐうの音も出ません。
 日常会話のなかで「それって意味ないよ」などと云われると、反射的にこのセリフが口をついて出そうになり、堪えるのに必死です。
 でもいつか一度は云ってみたい、魅惑の科白でもあるのです。
小波 41歳 女性 神奈川県

コメント爺 爺のコメント 確かに、こんなセリフが言えたら、さぞや胸の空く思いができるじゃろうな。ただ、爺には長すぎて覚えられんのが難点だワイ。
「てやんでい!」ワシはだいたいコレで済ませておるぞ。ガッハッハ。

「我らが得た知識を、ひと匙分の砂糖に喩えるならば、まだ得られずにおる知識は、視界いっぱいに広がるサトウキビ畑に喩えることができる」
「砂糖の山じゃなくて、サトウキビ畑?」
「そのとおり。そのままではただ広大であるばかり。砂糖を得るには、刈り取り、精製をせねばなりませぬ。効率のいい刈り取りの仕方も、不純物の混じらない精製の仕方も、同時に学び研究していかねばなりませぬ。学問し知識を得るというのは、そういうこと」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(中巻) … P400
 バクサン博士の、とても重みがあるセリフです。
 とても博学な彼ですら、自分の知識は砂糖ひと匙分しかないと語っているのです。一介の学生である自分が謙虚に学び続けないわけにはいきませんね!
 自分がうぬぼれて天狗になりそうになったとき、この言葉を思い出して気を引き締めています。今自分は、たまたま一粒だけ多く何かを知っていただけだ、と。
星屑 17歳 男性 東京都

コメント爺 爺のコメント なんと素晴らしい若者じゃ! 星屑さんには、その心根のまま大人になってほしいと切に願う爺であーる。そして爺亡き後の日本をよろしく頼むぞ任せたっ!

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