第18回 (2009/2/13)
今度は宮極大の順じゃ(笑)
「猫は鼠をなぶり殺しにする事があるでしょう」とおようはいった。玄庵はけげんそうに顔をしかめた。
「……何のことだね、それは」
「何でもない。ただ、鼠だって猫を噛むことがあると思ったの」
『かまいたち』 宮部みゆき
新潮文庫 … P68
 おようちゃんが静かに呟いたこのセリフ。
 この後の彼女は、とても勇気ある行動をおこしたなあと思うのです。静かに覚悟を決めた様子がうかがい知れてとても気に入っています。
圭 17歳 女性 東京都

コメント爺爺のコメント  「窮鼠猫を噛む」、みんなもよく知っている諺じゃ。たしかにおようの、強い意志を感じる。
 みんなも相手が強いからとか諦めず、挑戦する姿勢を持ち続けてくれんかの。

「その娘に、正義なんてものはこの世にないと思わせてはいけない。それが大人の役目だ。なのに果たせん。我々がこしらえたはずの社会は、いつからこんな無様な代物に堕ちてしまったんだろう」
『名もなき毒』 宮部みゆき
幻冬舎/単行本 … P262
 そうですよね。
 毎日のニュース見ていると、考えられない事ばかりありますもんね。
しもふりにく 37歳 男性 千葉県

コメント爺 爺のコメント 確かに今の世の中、大人が大人としての責任を果たしていないと思わせることが多過ぎるな。そんな大人たちをみて育つ子供たちは可哀相じゃ。将来に希望を持てる社会であってほしいものじゃ。

「犯人も人間であることに間違いはない。人間なら、捕まえられます」
『模倣犯』 宮部みゆき
新潮文庫(一巻) … P433
 武上刑事の、なんとしてでも犯人を捕まえるという強い意志が伝わってきて、とても渋い(かっこいい)セリフだと感じました。
独烏 16歳 男性 兵庫県

コメント爺 爺のコメント 独烏さんのおっしゃるとうり、武上刑事の台詞にこそ真実がある。
 こんな刑事なら、事件の迷宮入りは無くなるハズじゃ。

「幸せというのは、いつだって点なんです。なかなか線には、ならない」
『クロスファイア』 宮部みゆき
カッパノベルス(下巻) … P276
 きっと、幸せが線になったとき人はそれを「幸せ」と感じられなくなっちゃうと思う。
 点でしかないってちょっと切ないけど、伊崎さんの気持ちがすごくこもってて感動の一言だった。
夕祈 14歳 女性 埼玉県

コメント爺 爺のコメント 以前リコピンさんからも投稿されたものじゃが、夕祈さんも爺も素直に感動した大好きなセリフ。
「幸せ」のありようは人様々だけど沁みるのう。。

——御免よ。本当に御免よ。
——本当は嫌いなんかじゃないんだよ。
『百鬼夜行—陰』 京極夏彦
講談社ノベルス … P372
 今迄あまり関口と言う人間が好きではなかったけど、この台詞に色々な事に対する後悔がにじみ出ている気がして、少しだけ好きになった。
 中禅寺・関口夫婦に子宝が授かるよう祈りをこめて、この台詞に一票!
丹波オニ子 22歳 女性 宮崎県

コメント爺 爺のコメント 甲斐性の無い関口をすこしだけ好きなった丹波オニ子さんは、ここで描かれる関口の精神世界に共感したようじゃな。
 しかしじゃ、チョットした諍い事でも、関口には重たくなってしまう。それをふまえて、中禅寺・関口夫婦に子宝が授かるよう願う丹波さんはやさしいのう。。

「僕なんかはね鳥口君。昨日あったこと忘れちゃっただけで人生空っぽになるくらい慌てたりする。世の中は斯くあるべしと型を嵌めて生きてるからですよ。線引いて、こっちからこっちが自分の領域って決めて安心している訳です。でも本当は線なんかない訳でしょう? 外も内もない。でも、そう考えると不安になる。拠り所がないから——」
『塗仏の宴 宴の始末』 京極夏彦
講談社文庫 … P726
 ちょっと長いのですが、青木さんのこの台詞、まるで少し前の自分のことを言われているようでした。
  そして、何となく、成長した青木さんを思いました。。
うねま 28歳 女性 埼玉県

コメント爺 爺のコメント そして、うねまさんも成長することができたんじゃろうか。
 つねに何事にも線をひいて自分自身の領域を決めるってことは大事なことなんじゃろか。
 この青木のセリフは考えさせられるのう。

「一方的だな君は。何だって云うんだ。京極堂は仕事だ。女房どもは観光だ」
「先生は脳震盪ですね? そうか。それで師匠はいつ戻るんです?」
「戻らないよ。あいつは本の沢山あるところで死にたいのだそうだ。現場には山のように本があるらしいからな。生きて戻るか解らない」
『鉄鼠の檻』 京極夏彦
講談社文庫 … P245
 半分土砂に埋まった書庫で本を調べる書痴の男、京極堂。地震が来たら危ないと言っても、「地震が来たら僕なんかは自宅にいても死にますから、同じことです」と笑って、崩壊前の書庫に籠もってしまう。
  そんな彼の行方を鳥口に聞かれて、関口はこんなふうに答えます。
 古本の調査の仕事が、命がけのミッションのように語られていてとても愉快。
 明らかに何かがおかしいやりとりなのに本人たちはしごく普通で、鳥口も、それはなんの仕事ですかと訊き返すこともない。
 どこかずれた登場人物たちの軽快なセリフの応酬が素敵です。
yukika  21歳 女性 長野県

コメント爺 爺のコメント  京極堂の性格を、関口は充分理解してのセリフじゃな。
 本に埋もれて死ぬことは本望なのかもしれんのう。
 鳥ちゃんは、いつでも軽いノリで話すんじゃよな。ワシもついつい鳥ちゃんの軽口にはまってしまうんじゃ。

「私は─—私に女も男も求めないあの人に─—恋愛感情を抱いていたのですね。それは─—狂おしく恋してしまったのです。それは──多分そうなのです」
『絡新婦の理』 京極夏彦
講談社文庫… P1311
 織作葵という人物が語ったからこそ心に残るセリフです。様々な理屈を語り、お堅いイメージの彼女が、「狂おしく恋してしまったのです。」と、本心を語ります。
  このギャップが「恋とは不可解なもの」という感じを表していて、すごく気に入っているセリフです。
  この後の展開を考えると、なんだか切なくなってしまうセリフでもあります。
はなやぎ 47歳 女性 東京都

コメント爺 爺のコメント そうじゃ、理屈じゃ恋は語れぬ。
  この後に「簡単なこと程——云えねえものだよな」といった木場の言葉が葵の気持ちを代弁しておる。
 爺も素直に告白したいぞう?(誰に?)

「刑事だから何してもいいと思ってんじゃねえよ。相手がやくざだから何してもいいと思ってんだ」
『らんぼう』 大沢在昌
カッパノベルス … P204
 イケの性格が非常によく表現された名ゼリフだと思います。
眠たい奴らの「旅館」 35歳 男性 愛知県

コメント爺 爺のコメント イケのらんぼうにも、一本ピーンと筋が通っていることがよくわかる、いいセリフじゃなー。
 しかし、眠たい奴らの「旅館」とは、これまたユニークな名前だわい。(続く)

「ああ。約束しよう。キャッチボールも、自転車も、ぜんぶおじさんが教えてやる」
『眠たい奴ら』 大沢在昌
ジョイノベルス … P466
 この台詞を見た時、感動してそのページを凝視してしまいました。
 亜由子さんに直接言わずに息子の洋一君にこんな台詞を言うなんて、流石高見さんだと思いました。
  高見さんも月岡さんも本当にかっこよかったです。
東 19歳 女性 奈良県

コメント爺 爺のコメント このセリフは反則! 格好良すぎるぞ高見(笑)。東さんが感動するのも無理はないのう。
(続き)眠たい奴らの「旅館」さんの次に、まさに『眠たい奴ら』からの投稿が来るとは! 別に狙って載せたわけじゃないぞ。偶然じゃ〜〜〜!

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