第1回 (2006/6/10)
宮 部 み ゆ き
「イヤリングを両方失くしたなら、あきらめる。片方だけなら、探し回る。それが女だ」
『長い長い殺人』 宮部みゆき
光文社文庫 … P120
 これを聞いてうなずかない女性はいないんじゃないかと思える、名セリフ…というより、格言に近いでしょうか。ストーリーの本筋の中では重要度の低いセリフでしたが、妙に印象に残りました。
「女というのはこういうもの」という表現をした言葉は数多くありますが、格言として後に残るものはたいがい男性が口にしたものですね。なかなか、よく観察しているものです。
 これも、やはり言った佐々木自身の経験則か?
ゆうま 31歳 女性 沖縄県
「風邪ってさ」
「早くよくなってねって」
「心配してもらうために」
「ひくものじゃない?」
『ロンリー・ハート』(ステップファザー・ステップ) 宮部みゆき
講談社文庫 … P246
 パート先で、風邪が大流行、一人モンの上司も鼻水ズルズル、そのときにこのフレーズが思い浮かび、栄養剤とうがい薬を差し入れしました。それ以来、上司の思い遣りのないつめたい言葉が(ホントに少しだけだったんですが…)なくなりましたね。少しだけ心配されるのって、良いですよね。(この少しだけが難しいんだけど…)
 これからせっせと少しだけ心配していこうと思ってます。
ハンジロウの母 48歳 女性 北海道
「おっぱいをもらってる赤ん坊が、お母さんを見上げて『面倒をおかけしてスミマセン』と謝ったという話は聞いたことがない」
『今夜は眠れない』 宮部みゆき
角川文庫 … P154
 ブハッと吹き出しましたね、飲んでたお茶を。そして、「真理だ」と思いましたよ。
 転職してすぐの頃、仕事でミスばかりしてた新人時代は、これが座右の銘でした。いや、謝りましたけど、ちゃんと。
 初めてこの本を読んだ夜は、このセリフを思い出し、何度もププッとなり、まさに「今夜は眠れない」って感じでした。
 感動するセリフや、考えさせられるセリフの方が圧倒的に多いんですけど、名ゼリフ、と言われたらこの一言に尽きます!
きよた 33歳 女性 北海道
「ごめんで済めば警察は要らないんだからさ」
「オレはそうは思わない。父ちゃんがいつも言っている」と、慎吾は拳骨を握った。「『ごめんと言う気持ちがあれば、警察が要らないことはいっぱいある』って」
『東京下町殺人暮色』 宮部みゆき
光文社文庫 … P226
 このコーナーを知って一番に思い浮かんだのがこの作品のこの部分です。思わず目頭が熱くなりました。本を読んだ時2歳だった息子は中学生になりました。当時、この息子が 将来 慎吾のようなまっすぐな子どもになって欲しい、育てなければと思いました。今でも色んな事件が日常的に起こっています。皆がこの台詞のような気持ちを持っていたら沢山の事件も減るような気がします。
 今まで私の本箱に入っていた幾つかの宮部先生の本が息子の本棚に引越しをしました。まだまだ、慎吾には及びませんが。
おいわのわ 40歳 女性 三重県
「なあ弓之助、生きていても役に立たない人間の数と、死んじまった方が世の中のためだという人間の数と、どっちが多いと思う?」
「それは、この世に幸せな人と不幸な人のどちらが数多くいるか?というのと同じくらい、難しいお訊ねです」
『ぼんくら』 宮部みゆき
講談社文庫(下巻) … P92
 すごく考えさせられる疑問でした。
 読んでからもう随分日がたつのに、それでも私はまだ答えを見つけられていません。
 幸せな人と不幸な人、この世にどちらが多いのか?
 答えは見つけられていません。
 幸せな人の方が多いに決まってると思える自分でいたいような、人はそうそう簡単に幸せなんて手にできるもんじゃないよ、と悟りたいような…そうして日々煩悶しながら私はまた宮部先生の作品から逃れられない運命なのかもしれません(笑)
そら 29歳 女性 茨城県
「今目の前で火の手があがって、大勢の人間が助けを求めているんですよ。それを目のあたりにして、梯子車の駐車違反を云々していることはできません。まず救ける。それから、改正すべきところは正していったらいいんです」
『火車』 宮部みゆき
新潮文庫 … P199
 言っていることは正しくても、やり口が気に入らない。そんなことが多くてムカムカしているとき、この言葉を思い出します。いろいろと細かいところが気になったり、こいつに与するのは腹立たしい、となると止めてしまおうかと思うんですが、まあまずは大雑把にもやるべきことを終えてしまわねばと。
 けっこう、なぐさめられてます。
りょく 22歳 女性 東京都
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